動物映画D20

動物映画をたんたんと見続けるコヨーテなのでした。 

梅雨空

一週間ほど前だろうか。
家から一番近い地下鉄駅に向かった時のこと。
どうやら電車がついたばかりらしく、階段から出口に向かう人の波が押し寄せてきている。
彼らより先に自動改札を通り、ホームに入らなければ、人の波に飲まれてしまうのは明らかだ。
僕は走り、自動改札に無理やり体をねじ込むと、あわててカードを通した。


……その先には、盲導犬がいた。


同じく自動改札に入ろうとしていた彼は、僕をみて一瞬戸惑ったような表情をして立ち止まり、
僕を避けるようにゆっくりと隣の自動改札に向かった。
自動改札というものを認識することも、たやすいことではないだろう。
そこに何かに追われるように人間が駆け込んでくるのだから、
それは、十分に困惑する光景だったに違いない。


自動改札というものを、彼はどういうものだと受け止めたのだろう。
その風景が、不思議と今でも記憶に焼きついている。