動物映画D20

動物映画をたんたんと見続けるコヨーテなのでした。 

2012年動物映画ランキング 佳作

お金を払ってみたことを誇りに思う映画たち。

マダガスカル3

マダガスカル3 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

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動物映画にはいろんなジャンルとかアプローチがあって、
ただ出てる動物が違うだけじゃない。
それぞれに細やかに、目指すところ、教えてくれることが違っている。
マダガスカル3は、その一つの成功の形だ。


この映画を語る前に、まずYahoo映画のレビューを見ていただきたいんだけど、
はっきり言って評価点が異常に高い。
動物映画ではほとんどありえない高得点で、みんなが「おもしろい」と言っている。
僕も、この映画を見た感想は「すごく面白かった」だった。


でも、まじめに解題していくと、実は退屈な部分を上げる方が簡単なことに気づく。
特に、敵として出てくる環境局のおねーさんは、
コミカルではあるし、設定はいいんだけど、アクの強さが上滑りしてて、論理的には退屈な部類に入ると思う。
ところが、彼女と追いかけっこをする動物たちを見ていると、
それだけでとても楽しい気持ちになるから不思議なものだよね。
この楽しい感覚は、劇中ずっと続いていて、どんどん気持ちよくなったところに、
クライマックスの動物サーカスの時間が訪れる。
そこで、僕たちは気づく……マダガスカル3が目指していたのは、
「動物という楽しさの再発見」だった、と。


動物が、動くだけで美しいこと、その美しさを最も引き立てる動きはどんなものか、
ということを教えてくれたのが、同じドリームワークスのカンフーパンダ2だったように、
マダガスカル3は、僕たちはいつ、どんな風に、動物が楽しいと思い始めたのかと
そんなことを、思い出させてくれる映画なんだ。
その象徴の一つが、彼らが最後にたどり着いた故郷、
セントラルパークの「動物園」だったということではないでしょうか。


ので、論理的にはそんなに素晴らしくないはずなんだけど、
とにかくほんとにほんとに楽しかった映画ってことで、
この評価にしました。
動物園だって、そういう場所だよね。

51 世界で一番小さく生まれたパンダ

動物のドキュメンタリーって、
動物見たい人にもってこいみたいに思われてるかもしれないけど、
実際には、どんな映像美にあふれるものでも2時間も黙って見続けるのは苦痛。

なので、このジャンルの完成度は、
しっかり構成をしてるものとそうでないものとで圧倒的に差が出る。
その点、51は、これまで見たドキュメンタリーの中では、最高級の一品。
これもまた、トップ3に入れるに値する作品だった。


パンダのウーイーは、体重51gの超虚弱児で生まれたはずなのに、
超凶暴な暴れ者に育って、兄弟や飼育員をボコボコにする。
そんな自分を抑えきれずにアイデンティティークライシスに陥った彼の前に、
母親が現れるのだった……
っていうストーリーをちゃんとカメラに収めているのがほんとにすごい。


動物ドキュメンタリーが苦手な人もいると思うけど、
よく練られた動物ドキュメンタリーを見れば、結構好きになると思うよ。
それってつまり、動物のことを丁寧に言葉にしようともがいているかどうか、なんだよね。

くろねこルーシー

くろねこルーシー [DVD]

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ネコの映画って、最近すごくいい映画が多い気がする。
くろねこルーシーは、ネコ映画の一つの究極だと思う。
これは、ネコを描く映画を描く映画だからだ。
最近の邦画は、「この現代という時代に動物を飼うということ」に
すごく真摯に向き合っていて、えぐられるような気持ちになるんだよね。
トップ3に入れるに値する作品で、完成度は今年のどの動物映画よりも高かった。

チベット犬物語 金色のドージェ


2012年一発目の動物映画にして正統派動物アニメ。
チベットの野犬と人間が力を合わせて正体不明の脅威と戦う話。
日中合作っていうことで、結構政治的に頑張ったとは思うけど、 
公開初日にチベットで人が死んだりしている現実もある。
でも動物映画は、世界と、時代と戦っていかなくてはならない。
その意味でも、強く名前を上げておきたい映画となった。 


マッドハウス制作の2Dアニメっていう部分で、動物のダイナミックさを期待したけど、
『ねずみ物語』の迫力には及ばなかったのでやや評価を下げた。
見逃したあなたのためにVoD配信中。
http://vod.ntv.co.jp/program/tibetan-dog/