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動物映画D20

動物映画をたんたんと見続けるコヨーテなのでした。 

ひまわりと子犬の7日間

http://www.himawari-koinu.jp/


動物に関わる数字は、全て物語だ。
タイトルの7日間は、どんな数字なのか。
動物が保健所……今では呼び方が色々違うので、
愛護センターかもしれないが、そこに預けられる日数と説明される。
この時点で、
というかこれまで動物映画を見てきた人なら、
この説明だけでほぼすべての物語が完結するだろう。


宮崎の家族の物語である。
主人公は、保健所勤務の父親。
娘と息子は、父親に頼まれて、収容動物の里親探しを手伝っているが、
父親がどんな仕事をしているのかは全く知らない。
でも、娘が里親探しを続けるうちに、
収容動物の秘密――命の期限に気づいてしまい、
現実と向きあおうとしない家族は、衝突してしまう。
そんな中、一匹の子連れの野犬が収容され、
父親の威厳をかけて彼女を救うことを決意する……
みたいなおはなし。


こういう映画の怖いところは、
タイトルを見ただけで概ね内容が想像できるところで、
その内容を裏切るか、その内容を貫かなければ、どこか緊張感のない物語になってしまう。
僕は、これを『動物映画の普遍性』とよんでいる。
普遍性のある動物映画は、その普遍性を描き出すための、
圧倒的なパワーとクオリティが求められる。
だからこそ、僕達は動物映画を喜んで見に行く。
その激しい語り口とたたきつけられる感情をこそ、僕たちは浴びたいのだ。
動物が死ぬ映画は悲しいなんて、そんなの当たり前だよ。
でもそれは当たり前のことじゃないんだ。


ということで、このひまわりも普遍性と向き合った映画だった。
特に、
母親を失った家族の難しさとさびしさにフォーカスされた家族構成と、
動物の世界に土足で踏み込んでくる若い職員は、
人間と動物の世界を、最新式の留め具でつなぎとめてくれていたと思う。
背景の説明や、今何が問題なのか、ということも、
言葉だけが浮かないように、自然な風景になっていた。


あと、動物がでてくるシーンが非常に素晴らしい。
なんとなく動物をとってみました、とか、
いろんな制約でこういう絵しか取れませんでした、
とかじゃなくて、
『こういうふうに動物を取ると、こういう物語が生まれる』
ということを、はっきりと見据えた、心に残る絵が多かった。


一つもったいないと思うところがあって、
ちょっと最後の展開であわてた感じが出てしまっていた気がして、
全体的に丁寧な作りだっただけに、
そこだけ妙に目立つ印象になってしまった。
1時間半かけて丁寧に築き上げてきた
『奇跡ってそんなもんじゃねーだろ』っていうプライドを、
5分で『そんなもん』にしてしまったような寂しさがあった。
ただ、実話を元にしている映画ということで、
その辺はしかたがないことなのかもしれない。
事実は小説より奇なりという言葉の一つの側面にすぎないのだろう。
それ自体も、動物映画の味なので、いつも僕は全肯定だ。


というわけで、自分が動物映画が好きだということを、
思い出させてくれるような、そんな安定した作品でした。


まとめ: 標準的な格調高さをもつ普遍的動物映画
物語 3  
キャラクター 3 
動物  4 
ファンタジー 4 
総合 3 (人に勧められるレベル)

お値段は1900円としておこう。