動物映画D20

動物映画をたんたんと見続けるコヨーテなのでした。 

ガンバは僕のふ、る、さ、と、なんだぞ!

 

www.gamba-movie.com

 

ガンバというか。

 

小説「冒険者たち」は、自分の中での聖典の一つで。

初めて読んだのは小学生の頃だった。

アニメ版は、床屋のテレビでちょいちょい見ていて、

やはり残虐なノロイの印象が強く記憶に残ったものだけど、
原作の方は、人に勧められて、というか知り合いの大人が書いてた
ブックレビューを見て、読むことにきめた。

 

でも、そのときのガンバは自分にとっては
数あるおもしろい小説の一つでしかなかった。
大きくなって、動物の物語に生きるきっかけになったのは、
「ウォーターシップダウンのうさぎたち」だけど、
動物の物語に人生を賭けようと思ったのは、
このガンバ、正確に言うと「ガンバとカワウソの冒険」だったりする。

そのくらい、ガンバというのは自分の中で重要な人生の一部となっている。
そんなわけだから、ガンバというとみんな思い出すアニメの方のやつは、自分はあんまり好きじゃなかったりする。
バリバリの原作厨というやつです。

 

そんな自分にとっての、今回のGAMBAの再映像化なわけですが。
実は、見る前からある程度の感想はできていたりしたわけです。
まず、映像化されただけで1800円。
ノロイが言葉をしゃべったら+300円で、
潮路が泣いたらー300円、泣かなかったら+300円、
海がきれいだったら+300円。

 

そのくらいで、イタチとネズミの戦いがどう表現されるかとか、
1、2の半で誰が死ぬのかとか、
そういうことはあんまり気にしてなかった。

 

自分が、ガンバに求めているものって、ほぼその3つなんです。
一番心配していたのは、
ノロイがただのモンスターとして描かれてしまうこと。
言葉もなく、凶器の眼でネズミたちを追いつめ、引き裂くイタチ、
みたいなのはとても強力な相手ではあるとおもうけど、
ノロイが強敵だったのは、力のみによる支配ではなかったからだと思うからです。
(そして、余談ですが、その不安はアニメ版のガンバとカワウソの冒険で的中してしまいます。四の島の冒険が、力による恐怖で彩られているだけだったら、ガンバは「冒険をやめよう」とは言わなかったと思うからです)
だから、まず何よりも、ノロイが言葉を話すことを心から望んでいました。
最初にキャストが発表されたとき、ノロイだけは発表されなかったので、ずいぶんと心配しました。
けど、野村萬斎でした。
ほんとうによかった。

 

2番目に、ヒロイン潮路の存在。
潮路は、とても強く、理性的な女性として描かれます。
それを端的に表したのが、「決して泣かない娘」という表現で、
自分にとって、ずっと忘れることのできないキャラクターでした。
なので、いくら21世紀になって動物の物語が進化したといっても、
「ガンバさん! 死なないで!」みたいな感じで軽々と泣くような
キャラに変貌していたら、すごくいやだった、という、こだわりです。

 

3番目に、海の美しさ。
よく、懐かしのアニメ特集みたいなのでガンバがでると、
この「初めてガンバが海をみたシーン」が紹介される気がします。
それも、ガンバの感動をよく描いているんですが、
このお話にとっての海の美しさとは、
「折に触れてガンバが海の美しさを語る」ことで成り立ってると思います。
海が命を奪おうとするときも、イタチの恐怖に耐えているときも、
ガンバは海の美しさを語る。
それが、オオミズナギドリのツブリがいった、「詩人の目ではない」生き方なのです。
ので、「CGではない」海の美しさを期待していた、ということです。

という感じの期待感で、見に行きました。
わざわざ3Dで。

 

あらすじ
ドブネズミのガンバは、海を見に訪れた港で、
イタチが救う島から逃れてきたネズミ、忠太にであってしまう。
イタチの名はノロイ白い悪魔と呼ばれるその存在に、
荒くれの船乗りネズミたちも、おそれをなし、
誰も忠太を助けるものはいない。
それでもガンバは、ノロイとの対決を決意し、覚悟を決めたわずかな仲間たちともに忠太の故郷、「夢見が島」を目指した。
イタチの監視をかいくぐり、島のネズミと合流したガンバと仲間たちは、海岸の岩場に砦を作り、ノロイと対峙するのであった。

みたいな話。

というわけで、もう書くべきことはいい散らかしたのでまとめ。
まず、映像化されただけで1800円。
この青いガンバが、21世紀の子どもたちの新しいヒーローになってくれることほど、すばらしいことはないと思っています。
そして、ノロイがきっちり話をしてくれたので+300円。
知性と破壊の2面性のギャップは、後半の戦いの流れとも相まってよくでていたと思います。
潮路は、まあ、うん。
海の美しさは……いや、きれいだったけど、自分が好きな海に関するせりふがことごとくなくなっていたのは正直ちょっと残念でした。
というわけで2100円かなあ。

 

あ、でもキャラクターは結構いい感じだったので+200円。
キャストもよかったし、ガクシャが武闘派っぽく描かれていたのは、昔イタチと5分で渡り合っていたという昔話を汲んでる感じのでよかった。
ということで、2300円としておこう。

 

みんなこの映画を見て、ガンバが好きになって、動物の物語が好きになって、ガンバとカワウソの冒険が映画化されればいいと思います。
ほんと、なんか煮え切らない感想しかかけないおいらだけど、
原作よりあきらかによかったところもあったんですよ、ということは強く主張しておきたい。
終わり。

 

 

ここから先はまあ完全に余談なんだけどさ。
ガンバの1作目って、ガンバが冒険者になる話なんですよ。
自分の、「冒険者」のイメージってここが原点で、
冒険者にはなるものではなくて、「なってしまう」ものだと今でも思ってるんだけど、
この劇場版「GAMBA」は、そこがすこし納得いかなくて、
この展開でエンディング迎えても、冒険者になってないよな~?って思うんですよ。
っていう話を一緒に見た知り合いに2時間くらいぶつけた後で、
おもむろに言われた一言
「でも、タイトルに「冒険者たち」って入ってないですよね」
以上です。
何で、ツブリの性格かえたのかなあ。

今度こそ、完全に終わり。