鉄のオオカミ読了。
この物語群の凄みは、翻訳者の井辻朱美氏があとがきでずばり指摘しているとおりです。
物語が、語り手の手を離れ普遍的物語になるとき、何が失われるのかということを、
リチャードアダムズはよく知っていた、というその一点に尽きるということです。
そして、リチャードアダムズが、ウォーターシップダウンでウサギたちの英雄をトリックスターとして
描いたように、彼もまたトリックスターに取り付かれたものであったと。
この作品では、それを鑑みて、「英雄」という言葉に「トリックスター」とルビが振られている箇所があります。
なんというか、僕が言うべきことはもう特になくなってしまいましたね。
なんとかして、手に入れたい一冊です。