動物映画D20

動物映画をたんたんと見続けるコヨーテなのでした。 

ファンタスティックMr.fox

http://mrfox.jp/
みんな大好きキツネのストップモーションアニメ。
なんか著名な監督で、原作本があるらしい。
とかそんなことは些細なことでしかない。


21世紀の動物映画を端的に評価すると、
『映像面が日進月歩で進化し、脚本力がそれに従って引き上げられていった』
となるとおもう。
もはや、スクリーンの動物に表現出来ないことは、なにもない。
かつては、動物映画独特のおかしみというものがあったけれど、
それは裏をかえせば動物映画の限界でしかなかった。
そして、21世紀、限界はなくなって、
目を疑うような動物映画がたくさん作られて、
そしてそれはこれまでのどの動物映画よりも、動物を描いている。
だから、僕は21世紀を動物映画の時代だと言い続けているのだ。


でも、その時代は、今終わろうとしている。
おそらく、このファンタスティックMr.fox以上にすばらしい(またはファンタスティックな)
動物映画は今世紀には出てこないだろう。
動物映画特有のおかしみも、
けれんみも、
人間の記憶の底から呼びかける物語も、
さらに、多くの動物映画がスポイルしている『野生』までも、
すべて揃っていて、
その上、幻想に水をさしかねない、場違いなほどにクールな音楽が流れ、
そのどれもがまったく100%機能しているからだ。
いうなれば最高傑作で、なにか1つ動物映画を見たいなら、これを見ればいい。


もちろん、僕はひとりの動物映画のファンとして
この思いが打ち砕かれることを願っている。
きっと1年後くらいには、みんなまるっと正気を取り戻して、
みんな騙されるな、こいつは、ただのロビンフッドであって、
きつねどんであって、ただのライネケであって、ただのルナールじゃないか、
とか言い出してくれることを期待している。
動物物語がもう既に語りつくされただなんて、思いたくないもの。



1800円でみる価値があるかどうかについては
エンターテイメントとしては2000円。
動物映画を5本以上観てるなら+500円。
動物文学を5作品以上読んでるなら+500円。
あと、わたしとキツネの12ヶ月(狐時間で6年)を見た人は+500円。
の3500円ってところでいいんじゃないでしょうか。

あ、ちなみに狐の出てくる物語を知っている人は
1つ知っているごとに+500円の青天井でいいと思います。
僕の場合はいくらだろうな。


まあとにかく絶賛ハッピーフィート2を製作中のジョージ・ミラーは
さっさとこれをみて、むしゃくしゃして最初から作り直せばいいと思います。