動物映画D20

動物映画をたんたんと見続けるコヨーテなのでした。 

あらしのよるに

http://arayoru.com/pc/
同名の児童文学のアニメ映画化。
率直に言うと、捕食―被捕食関係にあるオオカミとヤギが嵐の夜に出会ってしまい、
それがきっかけで友情が芽生えるという『らしい』構造があまり好きではなくて、
これまでは敬遠していた。
映画化した後も、見なければという使命感はあれどもなかなか行けなくて、
気がついたら大きな映画館では先週で上映終了していた。
そんなわけで、市内で子供向けの映画を長い期間上映している、やや小さ目の映画館に慌ててかけこんだ次第です。


感想は、いつもと同じ言葉ではあるけれども、想像を絶するくらい面白かった。
こちらの想像を、今まで見てきたどの動物物語にもない方法でぶっちぎってくれました。
最初のうち、テーマであるオオカミとヤギの友情は、懸念していたとおりの
わだかまりを感じさせて、これはいったいどうなるのか……と心配していたのですが、
そのわだかまりが、見ているうちに解消されてしまう。
解消するんじゃなくて納得させられてしまうんですね。
なぜなら、二人はあまりにも強い友情で結ばれているから。
オオカミのガブにはオオカミの群れが、
ヤギのメイにはヤギの群れがそれぞれあって、彼らは別々の社会に生きているはずなのですが、
二人の友情はあまりにも強固で、社会に対する負い目を何一つ感じさせません。
それぞれの社会を描いたが故に、いっそう二人のほかに世界はないとすら思わせる。
本当にいつの間にか、わだかまりを忘れ、結末の想像が全くつかない物語にのめりこんでいました。


なかなか良い味を出していたのは、ヤギ族の女の子ミィ。
メイのことを懇意にしているんですが、種族を超えた友情の前には無力でした。
かわいそうに。


こちらが投げかける『なぜ……?』という問いに対して
『友情だから』と最初から最後まで大声で叫びつづける、そんな映画でした。
満足して顔がにやけながらも、なにか釈然としないものを感じながら、
雪道をとぼとぼと帰ったのでした。