動物映画D20

動物映画をたんたんと見続けるコヨーテなのでした。 

【動物映画】パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー

パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー

https://www.pawpatrol-movie.jp/

 www.pawpatrol-movie.jp

 

イヌ科生物 憧れのコンテンツ、パウ・パトロール

パウ・パトロールの映画、やっと見に行けました。

コヨーテの中で、パウ・パトロールは憧れと怖さが半分ずつある作品でして。
パウ・パトロールって、なんかめちゃくちゃ流行ってるイメージで、パウ・パトロールの話をした時に年頃のお子さんがいる人が「うちもハマってるわー」みたいに言われる確率がかなり高い。
でも、大人の間ではまったく誰も知らないので、完全に世代間で断絶が生まれている人気コンテンツ、というイメージがあります。

そんな人気動物映画を自分も味わいたいという気持ちと、内容が子ども向けで楽しめなかったらどうしよう、という気持ちとが半々ずつあって、元気がある時しか劇場に行ってなかったりします。

なので、今まで劇場で公開された作品で見たことあるのは、「ザ・ムービー」と「大空のミッション・パウ」の2本だけで、そのうち劇場で見たことあるのは後者だけだったりします。

そういう負い目もあり、今回はちゃんと元気を出して見に行きました。
だから、パウっと見に行けたというほど気楽ではなかったけど、面白かったよ。

 

お話は、マッドサイエンティストが隕石から採取した謎の鉱物によってパウ・パトロールのイヌたちはスーパーパワーを得てしまい、その力を使って事件を解決する……という話。

力を得たものと得てないものの葛藤などを描きながら、マッドサイエンティストと対峙するまでしっかり2時間くらいある映画なんだけど、とにかく全編にわたって面白く作られていて、満員に近い劇場から(飽きて?)出て行ったお子さんは観測された限り、一人だけでした。

 

動物映画としてクオリティが高い

今回スポットが当たっていたのは空飛びイヌのスカイと前作の「ザ・ムービー」から登場のリバティ。

どちらも、生まれや能力など、自分のコンプレックスを隠しながら、「どうしたらケントに役立てるのか?」を葛藤する感じが、イヌの映画らしくてとても良かったです。

 

とにかく全体的に丁寧に作られていた印象で、特に「動物映画」として重要なシーンをちゃんと描きながら、それを俯瞰視する視点を決して忘れないところはとても感心した。

「イヌの映画だとみんなこういうシーン好きだよね? もちろん俺も大好きです!」みたいな、「絶対に面白いと言わせてやろう」的な意気込みをちょいちょい感じる部分が多かった。

その文脈で描かれたスカイの生き様が動物映画ファンとして心地よく、その中でもスカイがマッドサイエンティストに身の上話をするシーンはめちゃくちゃ笑ってしまった。

喋る動物映画の醍醐味はこれよ。

 

クライマックスも非常に(イヌの映画として)感動的で、迫り来る困難に立ち向かうスカイに、劇場のお子さんたちから「スカイがんばれ〜」の応援の声がかけられたのにちょっとウルっときました。

ちなみにそのクライマックスシーンも、めちゃくちゃ笑いました。

これはもう全てのイヌ科の動物たちの強力な思いが具現化した、集団幻覚的な何かなのだろうと思います。

昔見たウルフウォーカーという映画は、オオカミから人間へのステートメント的な作品だと思いましたが、この作品はそのような強い意志ではなくて、もうちょっとこうありたいというイヌたちの感情そのものなのだと。

そんなイデア的な存在であるパウ・パトロールたちに、「別に能力がなくてもいいじゃない」などと嘯くケントは、かなりアメリカ的な感じも受けたものの、人間がかけてあげるべき言葉としては適切なんだろうなという気持ちです。

感想

なので、コヨーテもそんな人間とイヌの関係を久々に見つめることができてハッピーハッピーハッピーというところでした。
パウ・パトロール、これからも年に1回くらい、「動物映画の向き合い方を問う鏡のようなコンテンツ」として、コヨーテの前に立ち塞がってくれることを期待します。

ということで4点くらいとしておこう。(動物映画ファンじゃなくても楽しめるレベル)

映画『ウルフウォーカー』あるいは人とオオカミの新しい形。 - 動物映画D20