動物映画D20

動物映画をたんたんと見続けるコヨーテなのでした。 

チェンジリング:ザ・ドリーミング

人間の殻に妖精の心の素敵なゲームでした。
舞台は現代世界。人々が徐々に可能性を信じなくなりつつある『秋』の時代の中で、
想像力が枯渇した『冬』の到来を恐れ、自らの存亡をかけて人々に夢を与えようとする、
そんな妖精たちが物語の主人公です。


プレイヤーは妖精ですが人間社会で暮らしており、夢にあふれた夏の時代のように、
無邪気に振舞うことは難しくなっています。
そして、可能性を否定するような合理的過ぎる行動をとってしまうと、
「凡庸性」とよばれるステータスが上昇してしまい、これが上がりきると、
その者は妖精としての死を迎え、残りの生を人間として生きていくことになります。


私が渡されたキャラクターは、既にこの凡庸性に満ち、妖精の心を失いつつある者でした。
私は、それは悲しいことだと思い、それでもなお妖精の心を取り戻していく物語にしたい、
と思ってプレイしました。

ゲームが始まり、PCたちはふとしたことから妖精としての羽化を迎えた少女に出会います。
少女の望む通り、私たちは夢を与え続けました。
でも、彼女が妖精との出会いを望んだ本当の理由に、皆うすうす気づき始める……というお話。
迎えた結末は想像を絶しました。
いや、結末自体は、私たちが望み、力を注いだ通りの結末になったのです。
ですが、いざそうなってみると、自分のキャラクターはこの結末を喜んでいないに違いない
という思いを拭い去れませんでした。
ストーリーテラーは、とてもうれしそうに後日談を語りました。
なるほど、これはバッドエンドなのだな、と思いました。
冬の訪れを感じさせる、よいシナリオでした。


凡庸性の上昇を言いわたされると、夢を失っているのは果たしてキャラクターなのか、
それとも自分なのかと自分に問わざるを得ません。
チェンジリング、よいゲームです。