バンビ2 森のプリンス
- 出版社/メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
- 発売日: 2010/03/17
- メディア: DVD
- クリック: 10回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
とりあえず、いろいろ思ったけどファーストインプレッションとしては……
僕の考える、FatherWolfとFirstbornは多分こんな関係です。
バンビは、仔鹿の一年間を描いた文字通りの成長物語で、
油絵のような美しい世界や、脈動するような音楽、生命にあふれたシカの動きなどが
特徴的な作品だった。
60余年を経て公開されたバンビ2も、驚くほどこのバンビの精神ともいうべきものにこだわって作られているのが、
ただ黙って眺めているだけでも切実に伝わる内容となっている。
手法はデジタルになったが、その世界の描かれかたは、確実にバンビの世界であった。
でも、前作のバンビが(偶然にせよ意図的にせよ)携えていた、
時には描かないことも選択する、という精神までは受け継がれてはいなかったようには思う。
物語は、バンビの一年の中で前作では明確な言及が避けられた、雪解けから春にかけての季節を描いている。
悲しみを胸に、森の王である父とその王子であるバンビが、供に生きることを決意するまでの過程だ。
これまでバンビを、自分の子供としてというよりは、
群れの生命体の一部としてとらえていたような感のある森の王の、思いの内が語られるのだ。
はっきり言えば、バンビでの王の威厳ある描かれかたに息を呑んだ人ほど、
今作での王の饒舌さには違和感を覚え、閉口するだろう。
だが、それがなんだというのだろう?
ためいき混じりに王の勤めを語って聞かせるような、優しい王の素顔を誰しも一度くらいは夢想したのではないか。
僕も、そんな優しい王には激しくショックを受けたことは否定しない。
だけど、それを受け入れ、『優しい』ラストシーンを迎えたとき、
これでよかったのかもしれないと、僕は少しだけ騙されてしまったのだった。
バンビの続編ということでいろいろ考えたが、結局のところ、
怖いものみたさで見たい人か、何かの使命感を抱いている人くらいにしか、
お勧めできないというのもまた事実である。