動物映画D20

動物映画をたんたんと見続けるコヨーテなのでした。 

2011年動物映画ランキング

あっという間に2011年が終わってしまいました……
読み返してみると、どれもそこそこおもしろく見たはずなのに
ほとんど感想書かずに終わってしまった一年ですなあ。
とはいえ次の動物映画がすぐそこまできているのでさっさと回顧しておかないと
ちなみに「チベット犬物語 金色のドージェ」は今週末公開です。
作画はあの『ねずみ物語』で動物映画史上屈指のバトルシーンを展開したマッドハウス
チベット犬もきっと戦うよ。

2011年動物映画ランキング

第1位 ファンタスティックMr.Fox

たぶん僕とーー世界中のある種の動物映画ファンが動物映画に求めているものを
ほぼすべて与えてくれる作品。
キツネが嫁さんと一緒にどろぼうする話ってだけで既におもしろいのに
音楽もいい
テンポもいい
物語の大事なところと動物映画の大事なところを同時に強調する(そして他は切り捨て)
という、ちょっといびつでしかし力強いストーリーテリング
しかも、動物を描く魔法がありふれすぎていることに疲れてしまった、
CGに食傷気味の動物映画ファンの心をつかむストップモーションアニメ。
笑えるっていうのとは違うんだけど、とにかく『楽しい』気持ちになるユーモア。
震災直後という最悪の公開タイミングだったにも関わらず、
日常を完全にわすれさせ、動物映画特有の変な笑いがずっと止まらなかった2時間だった。


僕なんかは、1000年前の人間とこの映画を見て、一緒に笑いあいたいなあなんていう
おかしな過去への郷愁まで感じたりもしちゃって、
最初の5分くらいをみて、たぶんあいつら、
「オオカミ出るの? でないの?」とかいっちゃうぜ、絶対。
でもそれ、Mr.フォックスも同じこと言ってるから、大丈夫、心配すんなって
みたいな、ね。


個人的にだなんてつまらない前置きこそしますが、
まさに21世紀ベスト動物映画。
あと100年これを超える動物映画は出てこないような気がしてなりません。
でも、ほかならぬ僕自信があんまりそうは思ってないんだ。

第2位 カンフーパンダ2


CGっていうのは僕は動物を描く魔法だと思っていて
動物の出てくる映画って、動物ってリアルな存在だから、どうしても
実写だからいい、ドキュメンタリーだからいいみたいな言い方ってあると思うし
僕もそこは否定できない。
だって実写が心をつかむ時の映像の握力って、すごいんだぜ。
それは、自然現象なんだ。
実写の動物映画は、自然現象を操る魔法。
雷光をよび、風をふかせるとかさ。
でも、CGの動物映画は、学問の魔法だ。
魔法を使って、いいことをしようという、
人間のあたたかみとか、熱意とか、苦労とか、怨念とかがこもって、理論を築き上げる。
だから、みんな魔法を使うためにがんばるし、心をつかむのよね。


閑話休題としても、このカンフーパンダ2は、
動物の持つ動きの美しさを、その魔法で描き出そうとしていたと思う。
カンフーの達人、マスターファイブたちの流れるような動きは
半分はカンフーだけど、半分は動物そのものの動きだ。
そして、敵役のクジャクのシェン大老がでてきたとき、
誰もが、クジャクっていう生き物の美しさの再発見に、息を呑むんだ。


なんていろいろ書いてても、この作品を見た人は、疑問に思うかもしれない。
CGが魔法だって? わかってないな。 この映画の本当の魔法は……
……おっしゃるとおりです。
僕もそう思っています。


第3位 猿の惑星:創世記 ージェネシス


実は猿の惑星ってどんな話かぜんっぜんしらなくて、
劇場で予告編をみて、これはチンパンジーの映画なんだということがわかった。
それでも、なんとなくお金を払ってみたくない気がしていて(失礼)
試写会に応募したら、当選してしまった。
でも、仕事が超忙しい時期で、心に余裕がなかったのもあって、行けなくて、
いろいろ自分に言い訳して一度は諦めていたんだけど。
ふらっと時間ができて映画館を覗いたら、時期を過ぎてもまだ上映していた。
僕が、こういう、動物映画と『出会える』体質なのは、
数少ない、僕が人に誇れることの一つだ。


痴呆症の治療薬を開発する若き研究者は、ある日、試薬が実験動物のチンパンジーに
劇的な脳の成長をもたらしているという事実に気づく。
しかも、そのチンパンジーは妊娠していたのだ。
って感じで、赤ん坊からスーパーチンパンジーとして教育を受けた主人公は
世話をしてくれる研究者と愛情を深めていくが、
ある日、彼は動物収容所へと捨てられてしまう。
そこから、彼の自由を求める反乱が始まったーー


みたいなストーリーを書くと、すごい普通なんだけど、
チンパンジーが成長していき、最後に反乱を計画する過程がとてもすばらしく、
ドキュメンタリー的な慎重な内容から、だんだんファンタジー全開になって
途中で露骨に自重しはじめたりもするけど最後はもうやりたいことぜんぶやっちゃう、
みたいな、動物映画のいいところもわるいところも全部さらけ出す映画になってしまっていた。
クライマックスシーンの、橋の上での人間と類人猿のラストバトルを見たら、
あなたも言いたいことがわかってくれるはずだ。
痴呆症っていうところに踏み込むあたりが21世紀というべきかSFというべきか、
心をつかむテーマとして、物語全体に緊張感を与えていたのもすばらしかった。


ところで、あのメスゴリラ(注:侮蔑表現ではありません)との恋の行方は
どうなっちゃったんだろうね?


佳作へ続く