動物映画D20

動物映画をたんたんと見続けるコヨーテなのでした。 

おおかみこどもの雨と雪

http://www.ookamikodomo.jp/index.html

あんまりレビューを書きたい内容ではないんだけど。
見たことの記録として、頑張って気持ちを残しておくことにした。


オオカミが好きで。
はじめはいつからかわからないけど、中学生の時にははっきりとオオカミが好きだった。
かっこわるい話だけど、オオカミのような存在になりたいと思っていた。
それから時間がたって、自分の中でオオカミは好きな動物というか、
意識の源流に溶けこんでしまって、好きな動物とは言えなくなってしまった気がする。
でも、この映画を見たら、
まだ、オオカミが好きなんだ、それもすごくこだわりがあって、
熱い気持ちになれるんだって思えた。
まずそのことを思い出させてくれたこの映画に、何よりも感謝したい。

人間の女性「花」は、大学時代にふとしたことから出会った男が
おおかみおとこであることを知る。
しかし、花は彼の存在を受け入れ、二人の間にはこどもが生まれた。
雪の日に生まれた女の子「雪」は、はつらつとして元気な少女に、
雨の日に生まれた男の子「雨」は、静かで母親のそばを離れない、
おおかみこどもとして育っていく。

二人が小学校に入り、人間たちと接するようになると、
二人は正体を隠し、ふつうの人間の男女として生きなければならないことを学んでいくが……

というお話。


この映画には、2つの側面がある。
人間の側面と、おおかみの側面という話ではなく、
人狼のような変身種族を描いた映画という側面と、動物映画という側面だ。
姿を隠さなければならない変身種族の物語は、
あなたも知っているいくつかの物語がそうであるように、決定的な破滅の瞬間が訪れる。
そして、
動物映画としての動物の物語は、皆さんどういうものかはよくご存知とおもう。
その2つの話を交差しながら、この映画は最後まで進んでいく。


変身種族を描いた側面としては、
思春期くらいに気がついたら変身種族になってしまったホラーなモンスターたちではなく、
おおかみこどもとして育てられ、小学校にいくという事を描けるのは、
とても日本的な印象を受けて、安心して浸れる一方で、
野生との付き合い方、というところもひるまず描いており、二重に安心できた。


動物映画に関して言えば、
おおかみこどもを、動物映画の文法で描くという発想もさることながら、
ここ10年くらいで見たすべての日本の動物映画の面影があちらこちらに感じられて、
全てはこの映画に集約されると言ってしまってもいいかもしれない、と思った。
おおかみこどもへの視点が暖かいのは、そういう理由だと思う。


他に言うべきことはないけど。
でも、オオカミが好きだから、一言だけ。


おおかみこどもは、なぜオオカミだったんですか。


僕はその答えが出せずに、今でもずっとモヤモヤしているんだけど。
そのモヤモヤが、オオカミが僕に教えてくれたことを、いろいろ思い出させてくれた。

そして、この素敵で、日本全国で賞賛されるべき映画が、
21世紀のこどもたちに、オオカミの夢を見せてくれることを、
僕はとても嬉しく思っている。
そしていつか、21世紀の新しいおおかみこどもたちと、20世紀のおおかみこどもたちは、
いっしょに同じ夢を見るんだ。


1800円で見る価値があるかどうかに関しては。
動物映画の良さを味わえる映画だったので1800円。
ワーウルフ映画の良さを味わえる映画だったので+700円で2500円。
20世紀のおおかみこどもたちは+300円で2800円。
の2800円としておこう。


ちなみに、すごい凶悪なネタバレするけど
おおかみおとこと花さんの本番あるんで好きな人は心ゆくまで+してください。
おいらも+200円だ。